今回は、「ハラスメントフリーな職場作り」について、実践的なポイントをご説明いたします。
はじめに
「ハラスメント」という言葉を、どこか堅苦しく感じる方もいらっしゃると思います。ただ、「ハラスメント」は一時の流行語ではなく、今や国をあげて取り組まれている課題です。
それを裏付けるように、令和元年6月に女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、その改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。
つまり、職場がもっと働きやすい場所になるために、「ハラスメント」への対策は避けては通れないテーマです。
しかし、具体的にどう取り組めばいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、すぐに実践できる5つのポイントをご紹介します。
すぐに実践できる5つのポイント
1. ハラスメントの定義を共有する
まずは基本中の基本、「ハラスメント」とは何かを全従業員で共有することから始めましょう。
セクハラ、パワハラ、マタハラなど、ハラスメントには様々な種類があります。それぞれの定義と具体例を示すことで、「これってハラスメントかも?」と気づくきっかけになります。
例えば、「飲み会の参加を強要する」「育児中で時短勤務をしてる社員にその件で嫌味を言う」なども、立派なハラスメントになり得ます。身近な例を挙げることで、より理解が深まるでしょう。
2. オープンなコミュニケーションを促進する
ハラスメントの予防には、オープンなコミュニケーションが鍵となります。部署間や上下関係にとらわれず、自由に意見や感じたことを共有できる環境を作ることが大切です。
定期的な勤務時間内の座談会や、匿名で意見を言える仕組みを作るのも良いでしょう。「職場環境改善のために、言いたいことが言える」という風通しの良さが、ハラスメントの芽を摘む力になります。
3. 定期的な研修や教育の実施
ハラスメントに関する知識や意識は、一度学んだだけでは不十分です。
社会の変化に伴い、ハラスメントの形も変化していきます。例えば、最近では「リモートハラスメント(※)」という言葉も登場しました。
※リモートハラスメント(リモハラ)とは、リモートワークにおいて行われるハラスメント行為のことです。たとえばビデオ会議やチャット上でのやり取り、リモート飲み会などにおいて発生するハラスメントはリモハラに該当します。リモハラは、周囲から発見されにくいという特徴があります。
年に1回程度、外部講師を招いての研修や、eラーニングを活用した学習機会を設けましょう。繰り返し学ぶことで、意識が改善されていきます。
4. 相談窓口の設置と周知
ハラスメントに対する相談窓口を設置し、それを全従業員にしっかりと知らせることが大切です。
相談する際の手続きやプライバシーの保護など、安心して声を上げられる環境を整えることが求められます。
また、外部の専門機関と連携するのも一案です。「誰に相談していいか分からない」という状況を避けることができます。
5. 具体的な対応策の策定と公開
ハラスメントが発覚した際の対応手順を、あらかじめ決めておきましょう。
被害者保護の方法、加害者への処分基準など、具体的な内容を就業規則などに明文化します。これを公開することで、「問題が起きても適切に対応してくれる」という安心感や、「問題を起こすとまずいな」という危機感が生まれます。結果として、ハラスメント予防、早期発見、早期解決にもつながります。
まとめ
ハラスメントフリーな職場作りには、単なる「ルール作り」を超えた取り組みが求められます。組織の文化や価値観を見直し、全員が安心して働ける場を目指すことが大切です。