2024年9月、日本商工会議所と東京商工会議所が「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」の結果を発表しました。この調査は全国338の商工会議所が実施し、2,392社からの回答を得たものです。その中でも注目すべき点は、外部シニア人材の受け入れに前向きな中小企業が約6割に達していることです。
中小企業のシニア人材の活用について
シニア人材の活用が中小企業において着実に進んでいます。調査によると、法定下限の60歳を超える61歳以上の定年措置を導入している企業は52.2%と半数以上に上り、65歳までの継続雇用措置を取っている企業も63.2%に達しています。また、「定年上限なし」としている企業は32.0%であり、特に小規模な企業では年齢にとらわれない柔軟な雇用方針をとる傾向が強いことがわかります。
外部シニア人材の受け入れに前向きな企業が約6割
外部シニア人材の受け入れについても、企業の意識は高まっています。調査では、25.5%の企業が既に外部シニア人材を受け入れており、さらに35.2%が「適当な人材がいれば受け入れたい」と回答。これらを合わせると、全体の60.7%が外部シニア人材の受け入れに前向きです。採用ルートとしては、「公的職業紹介」が62.7%で最も多く、次いで「従業員による紹介」(47.3%)が続きます。この「従業員による紹介」、いわゆるリファラル採用が中小企業の間で広がっていることが伺えます。
中小企業の人手不足の現状
人手不足の問題は、依然として中小企業にとって深刻です。今回の調査では63%の企業が「人手不足」と答えており、前年に比べて5ポイント減少したものの、依然として多くの企業が人材確保に苦戦しています。特に65.5%の企業が「事業継続に支障が出るおそれがある」としており、4.2%の企業は「非常に深刻で廃業のおそれがある」としています。このような状況下で、シニア人材をはじめとする多様な人材の活用が重要な対策となっています。
外国人材の受け入れに前向きな企業が半数以上
外国人材の受け入れに対しても、前向きな姿勢を示す企業が増加しています。調査によると、24.6%の企業が既に外国人材を受け入れており、「今後受け入れる予定」(4.5%)や「受け入れを検討中」(22.5%)と合わせると、51.6%の企業が外国人材の受け入れに前向きです。多様な人材の活用が、企業の持続的成長において重要な役割を果たしていることがわかります。
まとめ
この調査結果は、中小企業にとってシニア人材や外国人材といった多様な人材の活用が、今後の成長と競争力の向上に寄与する重要な要素であることを示しています。引き続き、多様な人材の受け入れを進め、企業の発展を支える取り組みが求められています。