近年、定年後も引き続き働く高齢者が増えています。人材不足を補う貴重な戦力となる一方で、新しい職務内容や作業環境が労働災害につながるリスクもあります。今回は、高齢者雇用における注意点と安全対策についてお伝えします。
高齢者雇用が増える背景と課題
近年、多くの高齢者が再雇用や新しい職場で働き続けています。しかし、その業務内容は以前のキャリアと大きく異なる場合があります。たとえば、デスクワークから倉庫作業やビル管理、清掃、介護業務など、「体を使う仕事」へと変わるケースです。こうした仕事内容の変化は、体力面や作業習熟度とのギャップを生み、結果として労働災害につながるおそれがあります。
高齢者雇用に潜むリスク
高齢者が新しい現場で働く際には、以下のようなリスクが生じやすくなります。
- 体力的な負担:重量物の運搬や長時間の立ち仕事は、ケガや事故を引き起こしやすい
- 慣れない作業環境:新しい機械や清掃用具、介護機器の操作に不慣れなため、ミスが発生しやすい
- 職務の急な切替え:長年の経験分野から異なる業務への転換で、注意力の低下やヒューマンエラーが起きやすい
経営者が取るべき対策
経営者はまず、採用・配置の段階で本人の体力や健康に合った業務を割り当てることが大切です。次に、新しい職務では基本操作や安全ルールを短期間で反復して習得させ、作業ミスや事故を防ぎます。さらに、補助機器の導入や休憩を取りやすいシフトを組むことで負担を軽減し、定期的な健康診断や面談により体調に応じた業務調整を行うことが重要です。