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【正しく理解しよう!】遺族年金制度の改正について

最近、『遺族厚生年金の「男女差」是正』が報じられ、SNS上で「遺族年金改悪」などの投稿が急増しています。
そこで今回は、この改正について、どのような誤解があるかを整理し、解説いたします。

はじめに

年金と言えば老齢年金をイメージする方が多いかもしれませんが、実は遺族年金についてもしっかり理解しておくことが大切です。

遺族年金は、公的年金加入者が亡くなったとき、加入者が「生計を維持」していた遺族が受給できるお金です。「生計を維持」とは「家計が同じで年収850万円未満」の場合をいい、必ずしも扶養している必要はありません。

遺族厚生年金の「男女差」はどのように是正されたのでしょうか?

遺族厚生年金は、これまでは以下のように運用されていました。※子供がいない夫婦の場合

  • △女性は夫が亡くなった時点で30歳未満の人は遺族年金を5年間、30歳以上の人は生涯受け取れる。
  • ▼男性は妻が亡くなった時点で55歳未満の人は受け取ることができない。

このような夫婦間の給付条件における不平等を解消するために今回の改正が行われました。

改正内容のポイントは、配偶者が亡くなった時に60歳未満の人について、男性も年齢にかかわらず受給できるようにし、期間は男女ともに5年間(有期給付)とするという点です。

※子供がいない夫婦の場合
これは様々な解釈ができるため、SNS上では一部誤解がある投稿も見られました。

誤解①

「今、終身受給できている人も、残り5年間しか遺族年金を受給できなくなる」

上記は誤りです。すべての遺族年金受給者の受給期間が、5年間になるわけではありません。

現在、30歳以上で遺族年金を受給している妻や、60歳以上で配偶者を亡くした夫妻などは、今回の改正の影響を受けることはありません。

誤解②

「男女ともに、60歳未満の子がいない配偶者は“すぐに”5年間の有期給付となる」

こちらも誤りです。子どもがいない夫の場合は、「施行日から新たに有期給付の支給対象に」なるとされています。

一方で、子どもがいない妻の場合は「現行制度を前提に生活設計している者に配慮する観点から、20年程度の時間をかけて段階的に施行する」「有期給付期間は段階的に拡大する」、「現行制度における30歳未満から段階的に引き上げる」、等とされています。
ですので、受給中の人や現在40代以上の女性は影響を受けないとされています。

つまり、夫と妻とでは有期給付化のタイミングが異なります。

誤解③

「すでに決定された内容である」

今回の改正案は、あくまで方向性が示されたものであり、決定したわけではありあせん。
「年収の壁」問題など、他にも多くの課題が残されており、今後も議論が続きます。
審議会は年末までに本件をまとめ、早ければ来年の通常国会に関連法案が提出される予定です。

また、今回は触れていませんが、子どもがいる世帯の遺族年金については、制度改正後も現行どおりだということです。

まとめ

遺族年金制度の改正は、私たちの人生設計に大きな影響を与える可能性があります。
今回の改正について、誤った情報に振り回されることなく、正しく理解することが大切です。