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【性別を問わず活躍できる職場へ】間接差別について

皆さんは「間接差別」という言葉をご存知でしょうか?

直接的に差別するわけではないけれど、結果的に特定の性の人たちに不利益になってしまうこと」を指します。

そこで今回は、募集・採用、配置・昇進において注意が必要な「間接差別」についてお話しいたします。

1. 間接差別とは?

間接差別とは、特定の性別を理由に直接的に差別するのではなく、他の条件を表面上の基準にしながらも、結果的に一方の性に不利益をもたらす措置のことです。

具体的には、以下の3つの条件を全て満たす場合、間接差別として扱われます。

  • 性別以外の事由を要件とする措置であること
  • 他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものであること
  • 合理的な理由がない場合に講じられること

例えば、「体力が必要な仕事だから、男性しか採用しない」というのは直接的な差別ですが、「身長が170cm以上ないと採用しない」という条件は、一見すると性別に関わりのないように思えます。しかし、統計的に見て女性の平均身長は男性より低いことを考えると、この条件は結果的に女性を不利にする可能性があります。このような場合が間接差別にあたります。

2. 差別として禁止される3つの措置の具体例

具体的にどのような措置が間接差別に該当するのか、厚生労働省の例を挙げて説明します。

措置① 募集や採用における身長・体重・体力を要件とする場合

身長・体重・体力要件を選考基準としていると認められる例

  • 募集または採用において、身長・体重・体力要件を満たしている者のみを対象とすること。
  • 複数の採用基準の中に、身長・体重・体力要件が含まれていること(例えば、消防士)

合理的な理由がないと判断されるポイント

  • 荷物を運搬する業務について、必要以上に強い筋力を要件とする場合
  • 受付の仕事で、出入者のチェックを行うだけの、防犯を目的としていない警備員の職務にもかかわらず、一定以上の身長または体重を要件とする場合

従業員の募集や採用時に、身長や体力を要件とすることは、特定の性別に不利益を与える可能性があります。

措置② 転居を伴う転勤を採用の要件とする場合

転勤要件を選考基準としていると認められる例

  • 募集、採用、職種の変更において、転居を伴う転勤に応じることができる者のみを対象とすること
  • 複数の採用基準の中に、転勤要件が含まれていること

合理的な理由がないと判断されるポイント

  • 広域にわたり展開する支店や支社がない、またはその展開計画がないにもかかわらず、採用基準の中に、転勤要件が含まれている場合
  • 広域にわたる支店や支社があっても、家庭の事情などで本人が転勤を希望しないのであれば、転居を伴う転勤はほとんど実施されていない。にもかかわらず、採用基準の中に、転勤要件が含まれている場合

募集や採用時に「転勤が可能であること」を要件にする場合、主に女性に不利益になることがあります。転勤の事例がほとんどない企業で、転居を採用の要件にすることは合理的ではなく、間接差別にあたる可能性があります。

措置③ 昇進に際して転勤経験を要件とする場合

◇転勤経験要件を昇進基準としていると認められる例

  • 一定の役職への昇進に際し、転勤経験がある者のみを対象とすること
  • 複数の昇進基準の中に、転勤経験要件が含まれていること

◇合理的な理由がないと判断されるポイント

  • 特定の支店の管理職として職務を遂行する上で、他の支店での経験が特に必要でないにもかかわらず、その支店の管理職に昇進する際に異なる支店での勤務経験を要件とする場合

昇進の際に転勤経験を条件とすることで、主に女性に不利益を与えることがあります。

まとめ

企業にとって、募集・採用・昇進における基準は慎重に設定する必要があります。

特に、性別にかかわらず公平な機会を提供するために、合理的な理由がない限り、間接差別につながる措置を避けることが重要です。

皆さんの企業でも、これらの措置が適切かどうか、再度確認してみてください。