近年、働き方が多様化する中で、パートや契約社員など、期間を定めて働く「有期労働契約」で働く方が増えています。皆さんの会社でも、有期契約で働いている方がいらっしゃるのではないでしょうか。今回はこちらについて、少し詳しくお話しいたします。
「有期労働契約」にまつわる法改正の背景
労働契約の期間の定めは、パートタイムや派遣労働など、正社員以外のさまざまな働き方に関係する重要な要素です。実際、2023年の平均で1,443万人の方々が有期労働契約のもとで働いています。
しかし、有期労働契約で働く方々にとって大きな不安は、契約が更新される際に雇用が打ち切られるかもしれないという点です。また、有期労働契約であることを理由に、不合理な労働条件が適用されることも課題とされています。
これらの問題を解決し、安心して働き続けられる社会を目指すために、2013年4月1日に改正労働契約法が全面施行されました。
この改正により、以下の3つの措置が講じられています。
改正労働契約法の3つのポイント
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無期転換ルールの導入
有期労働契約が繰り返し更新され、5年を超える場合、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)へ転換することが可能です。これにより、雇用の安定を図ることができます。
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「雇止め法理」の法定化
これまでは最高裁判例で確立されていた「雇止め法理」が、改正により法律として明文化されました。これにより、契約更新の際の権利が明確になり、不当な雇止めを防ぐための基盤が強化されています。
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不合理な労働条件の禁止
有期契約労働者と無期契約労働者の間で、契約期間があることを理由とした不合理な労働条件の違いを設けてはならないとする規定も新たに設けられました。これにより、同じ職場で働く仲間として、公平な待遇を受けることが求められます。
困ったときはどうすればよい?
また、この改正労働契約法の円滑な実施をサポートするため、各都道府県の労働局には「無期転換ルール特別相談窓口」が設置されています。2018年4月以降、多くの有期契約労働者に無期転換の申し込み権が発生しているため、今後もこうした制度がスムーズに運用されるよう、周知と相談対応を強化しています。
まとめ
「有期労働契約」に関するルールは、働き方改革の一環として、今後も変化していく可能性があります。会社としても、従業員一人ひとりが安心して働ける環境づくりを目指し、最新の情報を常に把握しておくことが重要です。