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【50人未満の事業場に実地義務拡大へ】ストレスチェック制度の義務化範囲拡大について

本日は、労働安全衛生法改正に関する最新動向として、ストレスチェック制度の義務化範囲拡大についてお伝えいたします。

制度改正の概要

去る11月6日、労働政策審議会安全衛生分科会において、従業員50人未満の事業場に対してもストレスチェックの実施を義務付ける案が示され、概ね了承されました。厚生労働省は今後報告書を取りまとめ、来年の通常国会に労働安全衛生法の改正法案を提出する予定です。

背景と必要性

この制度改正の背景には、深刻化するメンタルヘルスの状況があります。2014年にストレスチェック制度が創設されて以降、精神障害による労災支給決定件数は約2倍に増加しています。

一方で、2023年労働安全衛生調査によれば、50人未満の事業場におけるメンタルヘルス対策の実施率は低水準にとどまっています。この状況は、小規模事業場における人的・経済的資源の制約がー因と考えられますが、従業員の心身の健康を守るという観点から、より広範な事業場での対策の強化が必要と判断されました。

小規模事業場への配慮

厚生労働省は、小規模事業場の実施負担に十分配慮する方針を示しています。

まず、現行制度で50人以上の事業場に課されている監督署への実施結果報告義務は、50人未満の事業場には適用されない方針です。また、小規模事業場の実情を考慮し、国による現実的で実効性のある実施体制・方法についてのマニュアル作成も予定されています。

集団分析・職場環境改善について

ストレスチェック制度では、個々の従業員のストレスチェックに加えて、職場単位での集団分析の実施と、結果を踏まえた環境改善についても規定されています。

しかし今回の改正では、これらの取り組みに関しては50人以上の事業場も含めて「時期尚早」との判断から、努力義務にとどめられることとなりました。

まとめ

現時点では法案提出前の段階ではありますが、50人未満の事業場におかれましては、今後の対応に向けた準備が重要です。

具体的には、実施体制の検討として、産業医や実施者の選定、実施方法として外部委託の要否などについて、事前に検討を進めておくことが有効です。また、実施に係る費用の見積りや、従業員への周知方法についても、計画的に準備を進めていきましょう。