家族の介護を理由に離職する「介護離職」が増加傾向にあります。総務省の調査によると、2022年には年間約10万6,000人が介護離職を経験し、5年前と比較して約7,000人増加しています。介護者の総数は約629万人に達し、そのうち約365万人が仕事と介護を両立しています。特に40~50代の働き盛り世代に多く、介護離職者の約8割が女性という現状も見逃せません。
政府の取り組み
介護離職を防ぐため、厚生労働省は育児・介護休業法の改正を検討しています。改正案には以下のような内容が含まれています。
- 個別周知の義務化
企業に対し、介護支援制度の個別周知を義務付ける。
- テレワークの推進
介護期における柔軟な働き方を支援する。
- 介護休暇の要件緩和
雇用期間にかかわらず介護休暇を取得可能にする。
これらの施策を通じて、仕事と介護の両立を支援する基盤が強化される見通しです。
企業の役割
介護離職を防ぐため、企業側にも柔軟で具体的な対応が求められています。主な取り組みとしては次のようなものがあります。
- 柔軟な勤務形態の導入
フレックスタイム制や短時間勤務、テレワークを積極的に導入する。
- 介護支援制度の周知と活用促進
制度を従業員に広く知らせ、利用しやすい環境を整備する。
- 職場風土の改善
従業員が互いに支え合い、介護に理解のある職場文化を構築する。
総括
介護離職は、個人だけでなく企業や社会全体に影響を及ぼす重大な課題です。政府の法改正や企業の積極的な取り組みにより、仕事と介護を両立できる環境整備が進められています。最新の支援策や法改正を活用し、すべての人が働き続けられる社会を目指していきましょう。