本日は「令和7年度 地方最低賃金審議会の答申」に関する最新のポイントと、企業が今から準備しておくべき対応についてお伝えいたします。
最低賃金の改定状況
令和7年度は、全国47都道府県すべてで最低賃金の引き上げが答申されました。改定後の全国加重平均額は 1,121円(前年より66円増) となり、昭和53年度の目安制度導入以降で過去最高の引き上げ幅となっています。さらに、最高額(1,226円)に対する最低額(1,023円)の比率は 83.4% と前年から改善し、11年連続で地域間格差の縮小が進んでいます。注目すべきは、すべての都道府県で最低賃金が初めて 1,000円を突破 する点です。
改定額の発効時期
改定された最低賃金は、令和7年10月から令和8年3月にかけて段階的に発効されます。
- 10月発効:20都道府県
- 11月発効:13府県
- 12月発効:8県
- 2026年1月発効:4県(福島・徳島・熊本・大分)
- 2026年3月発効:2県(群馬・秋田)
従来は10月一斉発効が中心でしたが、今回は分散的なスケジュールとなっていますので、地域ごとの発効時期に注意が必要です。
企業がとるべき対応とは
最低賃金改定にあたっては、以下の対応を早急に検討しておくことが重要です。
- 給与額の確認・見直し
時給制・パート・アルバイトを中心に、新最低賃金を下回る従業員がいないかを人事・労務部門で必ず確認しましょう。 - 就業規則・賃金規程の改訂
賃金テーブルや昇給規程との整合性を確認し、必要に応じて改訂を行いましょう。 - 人件費の増加に伴う試算と予算再検討
大幅な引き上げはコスト構造に直結します。収支への影響を早めに把握し、対策を講じることが求められます。 - 助成金の活用
業務改善助成金など、国の支援策も積極的に活用することで賃上げの負担を軽減できます。
まとめ
今回の最低賃金改定は、すべての都道府県で1,000円を超えるという大きな節目を迎えました。発効時期は地域ごとに分かれているため、事前の確認と準備が欠かせません。企業にとっては人件費増加という大きな課題が伴いますが、就業規則の見直しや助成金の活用など、計画的な対応を進めることが将来の安定につながります。