改正労災保険法の概要と主な見直し内容
令和8年7月に改正労災保険法が成立し、令和9年4月1日から、労災保険給付の請求権や遺族補償年金の支給要件が見直されます。
1. 労災保険給付の請求権に関する消滅時効の延長
現在、療養補償給付や休業補償給付などの請求権は、原則として2年で時効となります。しかし、業務との因果関係を容易に判断できない疾病については、時効期間が5年に延長されます。
対象となる疾病は今後、政令で定められますが、脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾病などが想定されています。これらの疾病は、発症してから業務との関係が明らかになるまでに時間がかかることがあります。時効期間の延長により、退職した従業員や遺族から、過去の勤務状況、労働時間、業務内容などについて照会を受ける可能性も高まります。
2. 遺族補償年金の要件見直し・統一
遺族補償年金については、夫にのみ設けられていた「妻の死亡時に55歳以上」などの要件が撤廃されます。また、遺族が1人の場合の年金額も、給付基礎日額の175日分に統一されます。
おわりに
事業主には、長時間労働の防止やメンタルヘルス対策に加え、勤怠記録、健康診断結果、面談記録などを適切に作成・保存することが求められます。改正を機に、労災事故を予防する職場環境と記録の管理体制を見直しておきましょう。
