皆さんの会社では、従業員同士の関係は良好でしょうか?
働きやすい職場環境を作るためには、従業員一人ひとりが安心して仕事に取り組めることが大切です。
最近では、職場でのハラスメントが大きな社会問題となっています。「ハラスメント」と聞くと、限定的な場でのイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、誰にでも起こりうる身近な問題となってしまっているのが現状です。
そこで今回は、厚生労働省が取りまとめている「職場におけるハラスメント防止対策」について、ご参考としていただける点を手短にいくつかご紹介いたします。
なぜ今、ハラスメント防止対策が重要なのか?
職場でのハラスメントは、従業員の心の健康に深刻な影響を与える重大な問題です。都道府県労働局に寄せられるハラスメントに関する相談は年々増えている状況とのことです。
こうした背景を受けて、2019年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第24号)が成立しました。
この法律では、パワーハラスメント防止のために事業主が講じるべき雇用管理上の措置義務が新たに規定され、セクシュアルハラスメントなどの防止対策も強化されました。
この改正法は2020年6月1日から施行され、中小事業主については2022年4月1日から適用されています。
具体的にどんな対策が必要なのか
この改正法に基づき、2020年1月15日には「パワーハラスメントの防止のための指針」が公布されました。この指針では、事業主が講ずべき具体的な措置として、職場でのハラスメント防止に向けた取り組みが示されています。
具体的には、事業所は以下のような対策を行う必要があります。
- ハラスメント防止の方針を明確化し、従業員に周知・啓発する
- 相談窓口を設置し、適切に対応する
- ハラスメントが起きた時の事後対応を決めておく
- プライバシー保護に配慮する
- 相談者や協力者に不利益な取り扱いをしない
さらに、お客様などからの迷惑行為への対応も推奨されています。
労働局の取り組み
都道府県労働局では、改正法の施行後、ハラスメント防止措置が十分に講じられていない事業所に対して、適切な措置を講ずるよう指導を行っています。
また、ハラスメント事案が発生した場合には、事後の適切な対応や再発防止のための取り組みを事業所に対して求める活動も行っています。
さらに、従業員と事業主との間で紛争が生じた場合には、労働局長による紛争解決援助や調停会議による調停を通じて、紛争の解決が図られています。
まとめ
職場でのハラスメント防止は、すべての従業員が安心して働ける環境を整えるために欠かせない取り組みです。皆様の職場でも、法改正と指針を踏まえて、ハラスメント防止策のさらなる強化に努めていただければと思います。