厚生労働省が公表した令和7年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、全国の総合労働相談コーナーに寄せられた民事上の個別労働紛争に関する相談は、前年度比3.5%増の27万7,053件となりました。
相談内容と主要な問題点
相談内容では、労働施策総進推進法上のパワーハラスメントを除くいじめ・嫌がらせが5万5,614件で、14年連続の最多となっています。次いで、自己合退が3万8,386件、賃金や手当などの労働条件の引下げが3万3,368件と続きました。また、都道府県労働局長が解決の方向を示す「助言・指導」の申出は、前年度比8.5%増の9,616件でした。紛争調整委員会による「あっせん」の申請も4,486件となり、前年度から16.0%増加しています。
職場内問題の背景と管理職の責任
職場内の問題が社内だけでは解決できず、行政機関へ持ち込まれるケースが増えていることが分かります。いじめや嫌がらせは、暴言や無視だけではありません。必要な情報を与えない、特定の従業員だけを仲間外れにする、能力に見合わない仕事を与える、退職を繰り返し迫るといった行為も紛争の原因となります。
さらに、会社が注意すべきのは、管理職が「指導のつもりだった」と考えていても、言動の内容や頻度、周囲への影響によっては、従業員がいじめや嫌がらせと受け止める場合があることです。日頃から、部下への伝え方や注意の方法を見直す必要があります。
おわりに
問題を放置すると、休職や退職、労働局への相談、損害賠償請求、人材流出につながります。相談窓口を設けるだけでなく、相談後の事実確認、相談者への配慮、行為者への指導、再発防止までの対応手順を明確にし、管理職にも周知しておきましょう。
